移転が延期されている中央区の築地市場。
移転先の江東区:豊洲市場の主要な建物下で
土壌汚染対策である盛り土がされていなかった。
様々な問題が浮き彫りになる中、問題の1つは、
青果棟の下では厚さ50センチの砕石層が
むき出しになっていることだ。
何が問題かと言うと、地中から揮発した
ベンゼンが地表に出てしまうということである。
それを阻止するためには、盛り土が有効であると、
外部識者の専門家会議が提言した。
専門家は「安全性について改めて確認する必要がある」と指摘。
コンクリートを流し込んで固めただけというイメージ
都の発表によると、
現在の水産卸売場棟と水産仲卸売場棟には、
砕石層(石を砕いて作成した層)の上に
厚さ10センチのコンクリートを打っている状態であるそうだ。
都担当者によると、
このコンクリートの設置目的としては、
配管や電設工事施工の足場にするためだという。
上がってくる地下水を防ぐことは想定していない。
その根拠に、鉄筋などは入っておらず、
「コンクリートを流し込んで固めただけというイメージ」と話す。
これに対し青果棟はと言うと、
砕石も、コンクリートもなかった。
都の発表は、
「砕石層によって地下水が上がってくることを防げる」
としているが、
(豊洲市場の建物下を視察した共産党都議団に対して)
「今後、青果棟の砕石層もコンクリートで覆う」
と説明・・・。
辻褄があわない。
放送大学和歌山学習センター所長である
平田健正氏(専門家会議で座長)によると、
「どのくらいの濃度のものが上がってくるか、
もう一度改めて計算する必要がある」と指摘。
揮発性物質のベンゼンは盛り土の有無で
拡散の方向や広さが変わってくるという。
専門家会議は汚染対策を、盛り土をすることが前提で検討。
都の話では、床を厚さ10センチ以上の
コンクリートで覆えば、有害物質を屋内に入るのを
防ぐことが出来るとし、土壌汚染対策法としている。
ただ、これだけの量のコンクリートを流し込むとなると、
コンクリートは収縮性があり、ひび割れは確実におきるのである。
そのひび割れから、有害物質は染み出してくるであろう。
都の担当者は
「専門家から盛り土がなくても大丈夫だという
お墨付きをもらっていないという事実は重い。
安全性を改めて確認しなければならない」
と、認識の甘さを認めた。
また、都は建物下が空洞になった建設設計図を
作製していたことも分かった。
この時点で既に、土壌汚染対策の工法を検討する
「技術会議」が開かれていたが、
議事録に設計図が提示された記録はなく、妥当性は議論されなかった。
これは、認識しながらも、手抜き設計を断行したと判断できる。
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