コロナ禍のもと、数々の政治課題の中に埋もれがちですが、日本学術会議任命拒否問題は、さまざまな文書が(黒塗りが多いとはいえ)出揃い、自民党の改革案なども公表されて、「双方の布陣が定まった」状態で年明けを迎えました。
この問題では、政府が詰んでいることは火を見るより明らかです。法律に反する人事介入について、学術会議は数年前の事例から一貫して政府に理由説明を求めていますが、人事に関することだからとの理由にならない理由を盾にこれに応じないことは、そもそも説明できないこともさりながら、説明しないことによって権力を強化する意図すら読み取れます。
佐藤学さん、大沢真理さん、お2人の元学術会議会員が示す明確な見取り図から読み取れるのは、これが軍事研究や原発政策をめぐる学術会議と政府の緊張関係にとどまらず、予算を配分する科学技術基本計画と相まって、人事と予算の両面から政治が学問全般に支配を強めようとする深刻な問題だということです。ひいては、文学や映画などさまざまな表現、さらには市民生活にその影響が及ぶことは目に見えています。
日本学術会議サイト
http://www.scj.go.jp
桐野夏生さん『日没』(岩波書店)インタビュー
https://pdmagazine.jp/today-book/book-review-745/
小説に追いつく不穏な社会 「日没」桐野夏生さんに聞く(有料記事)
桐野夏生さん、新著「日没」を語る 現実が小説越える不穏さ 国家による表現の弾圧に声を (有料記事)
https://mainichi.jp/articles/20201224/dde/012/040/014000c
村上春樹氏「コロナ禍、一連の出来事の中に」 仏紙に(有料記事)
https://www.asahi.com/articles/ASNDQ3GRFNDQUHBI003.htm
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