新型コロナウイルスの感染拡大が加速するなか、政府は、神奈川、千葉、埼玉の3県と大阪府について、緊急事態宣言を発出する方針を固め、30日に専門家の会議に諮ることを決めました。期限は8月2日~31日までとし、8月22日が宣言の期限となっている東京都、沖縄県についても延長し、終了時期を揃える方針です。
菅総理:「(Q.東京は緊急事態宣言下で感染が拡大している。宣言の効果がなくなったのでは)いろんな意見があることは承知している。ただ、そういうなかでワクチンの接種、さらに抗体カクテル治療もあるので、早急に対応することができるように準備を進めている」
東京都では29日、新たに3865人の感染者が確認され、3日連続で過去最多を更新しました。先週の木曜日の2倍近くに上り、増加ペースが急激に上がっています。感染状況や医療体制を分析する都のモニタリング会議で、専門家は強い危機感を示しました。
国立国際医療研究センター・大曲医師:「これまで経験したことのない爆発的な感染拡大に向かっている。現在の人流を十分に減らすことができないまま、N501Y変異株(イギリス型)からL452R変異株(インド型)への置き換わりが進むと、感染拡大が急速に進み、爆発的な感染状況になる」
この1週間の感染者数は、一日平均2000人を超えています。今のペースで増え続けると、1週間後に2962人、2週間後に4532人にまで増えるとの試算も示されました。
小池知事:「感染状況、医療提供体制、ともに極めて厳しい状況との認識が示された。職場の同僚や友だちとの飲食を伴う会食は(インド型の)デルタ株という強敵は非常に危ないので、ぜひ自粛をお願いしたい」
都内の保健所は、今、感染者の対応に追われる、かつてない状況にあります。入院・療養調整中の人は、今週に入って急増していて、29日は5000人を超えました。受け入れ先は、なかなか見つかりません。
北区保健所・前田秀雄所長:「もはや近隣の医療機関で病床が見つからない。東京都の総合調整に依頼するが、場合によっては、翌日以降になる場合も。1日のタイムラグが生じる。その間、入院治療が必要な方が、自宅で待機せざるを得ないことはリスクが増す」
河北総合病院では、子どもの患者から中等症まで43床を確保していますが、その数字を上回る46人が入院しています。
河北総合病院・杉村洋一院長:「最近はできる限り受け入れて、満杯の状態なので、ひっ迫していると思う」
ただ、東京都は、まだ病床には空きがあると説明しています。
河北総合病院・杉村洋一院長:「実際にどれくらい使えるのかが明らかになっていないので、数的には余裕があるかもしれないが、現実的には、もうベッドがないのでは」
医療現場からの指摘に、東京都の担当者は、こう話します。
東京都担当者:「病床はある。ただ、新しく患者を受け入れるとなると、人員の配置などが必要。その調整に時間がかかるため、断られるケースがあるのは事実」
感染拡大は首都圏全体に広がっています。神奈川県は2日連続で過去最多を更新。埼玉県と千葉県は、28日に次ぐ過去2番目の感染者数です。3県は29日、足並みを揃える形で、政府に緊急事態宣言の発出を要請しました。
現在、埼玉県では、東京都に隣接する地域を中心に20の市町が、まん延防止等重点措置の対象です。酒類の提供は、“1人”か“同居家族”に限り、午後7時までの条件付きですが、認められています。川口市に店を構えて43年。『菜来軒』は、コロナ禍でも常連客に支えられてきました。東京都で酒類提供の“禁止”が続くなか、県境を越えて飲みに来るお客さんが増えたといいます。また、酒の提供ができなくなりそうです。
菜来軒・石元郁代さん:「あんなに(感染者が)増えちゃうなんて飲食店のアルコールだけじゃないですよね。他にやるべきことがあるのではないかと思う」
感染は各地で拡大していて、全国の一日あたりの新規感染者が初めて1万人を超えました。
5月中旬から緊急事態宣言が続く沖縄県。29日に確認された新規感染者は、過去最多の392人で、300人を超えるのは、3日連続です。
玉城デニー知事:「感染経路が特定できない市中感染が増えている。外出すると、誰でもどこででも感染するリスクがある状況」
感染者が急増する一方で、夏休みシーズンでにぎわうはずの国際通りに観光客はほとんどいません。人が減っているのに、なぜ、感染者が増え続けているのでしょうか。
沖縄県立中部病院・椎木創一医師:「(変異)株そのものの影響。感染した時にウイルスが増えるスピードが速いとか、少ないウイルス量でも効率よく感染させられてしまう。こういったことから考えると、まだまだ感染者が増えていくことが懸念される」
沖縄県立中部病院では、50床あるコロナ病床のうち、中等症と軽症の患者で約30床が埋まっているといいます。
沖縄県立中部病院・椎木創一医師:「治療・検査が遅れ遅れになって、悪化した状態で病院に来る患者の割合が増えている」
政府は、北海道や石川、京都など5道府県について、まん延防止等重点措置を適用する方針です。かつてない感染の波。専門家は、収束への見通しについて、こう話します。
政府の分科会・尾身会長:「この感染を下げる要素があまりない。今、夏休み、お盆。さらにオリンピック。今の最大の危機は、社会一般のなかで危機感が共有されていないこと。この1年半のコロナとの対応のなかで、最も厳しい状況にいる」
菅総理:「(Q.東京五輪開催により警戒心が緩んでいるとの指摘もあるが)いろんな人が、いろんなご意見を言っていることは承知している。
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