大宮駅から徒歩3分。創業41年「武州うどん あかね」。人気はなぜか「ハンバーグセット」1100円。26年前、売り上げが落ちた店を立て直すため2代目が考案、まさかの発想から生まれました。
京成船橋駅から徒歩4分。創業15年の「ラーメン963」。人気は「船橋ホンビノスラーメン」1100円。ハマグリの一種、ホンビノスを使った“ウラ看板”が「クラムチャウダー」。ラーメンの技法「呼び戻しスープ」を使って日本一に輝きました。
飯能市にある創業62年のそば店「長寿庵」。客は「洋食が食べたくて調べたら(この店が)出てきた」といいます。お目当ては「オムライス」980円です。“ウラ看板メニュー”に込めた初代店主の思いとは?
■父の後姿を見て生まれた「絶品ハンバーグ」
大宮駅から徒歩3分。ランチ時は行列ができる、創業41年「武州うどん あかね」。看板メニューは、関西風のだしに、こしがある手打ち麺が特徴の「武州うどん」630円です。
皆さん、うどんを食べに来ているのかと思いきや…。
客
「初めて来たときはびっくりしました」
初めて来店した客
「(Q.ここって何屋さんだと思いますか?)定食屋さん?」
「そう聞いて来ました」
何の店だか客が困惑してしまうのには理由がありました。
常連客
「うどん屋さんのハンバーグセットひとつ」
初めて来店した客
「違和感はあったんですけど、おいしいので」
実はこちらのうどん屋さん、一番人気は、デミグラスソースとチーズがかかった「うどん屋さんのハンバーグセット」1100円なんです。
桝田沙也香アナウンサー
「初めて食べるくらい、フワフワなハンバーグです。デミグラスとチーズで洋風な仕上がり。不思議とちょっと和風の味付けも感じる」
こだわりは、合いびき肉に、おふや豆腐を混ぜることで生まれるフワフワ食感。さらにデミグラスソースなのに和風テイストの理由は?
「武州うどん あかね」2代目店主
祖父江康明さん(48)
「デミグラスにもハンバーグにも、うどんのだしが練りこんである」
サバ節とソウダガツオのソウダ節を使っただしを肉やソースに混ぜることで、和風テイストの深い味わいを生み出していたんです。
しかし、なぜ、うどん屋なのにハンバーグなのか。そこにはある理由がありました。
祖父江さん
「お店が傾いてきたことをきっかけに、僕がこの店に入ることになったんですけど。お客さんの目を引きたい」
26年前、大学を中退し、2代目店主となった祖父江さんは、店を立て直すため新たなメニューを考案。ウラ看板メニューが生れるきっかけは、初代店主の父親が毎朝、行っていた作業でした。
祖父江さん
「うどんをこねるっていう作業と、ハンバーグをこねる作業。通ずるものがあると思って、いいかなって」
父の後姿を見て生まれた絶品ハンバーグ。今では、店の“ウラ看板メニュー”になっていました。
■ラーメン屋さんで食べられる“日本一のクラムチャウダー”
千葉県・京成船橋駅から徒歩4分。創業15年のラーメン屋さん「ラーメン&Bar963」です。週末は15席ある店内は満席になります。
初めて来店した客
「困惑しますね。どっち頼むか、すごく悩んじゃったんですけど、結局どっちも頼んじゃう」
ここでも客が困惑していました。絶品ラーメンから生まれた日本一の料理とは?
メキシコからの観光客
「オイシイ!メキシコにこんなラーメンないよ」
「素晴らしいわ!10点満点中10点よ」
看板メニューは、地元・船橋でとれたホンビノス貝を贅沢に使ったラーメン。ハマグリよりも味が濃いのが特徴です。
桝田アナ
「貝のうま味がすごいですね。ハマグリの酒蒸しのスープを飲んでいるみたい。細麺がスープに合います。麺はモチモチしています」
貝が水揚げされたときにしか出せない限定の「船橋ホンビノスラーメン」。しかし、日本一に輝いた料理は別にあるんです。
初めて来店した客
「今まで食べたクラムチャウダーで一番おいしかったです」
栃木県から来た客
「衝撃的でした」
客
「ラーメン屋さんで、なんでクラムチャウダーなの?って。最初、疑問だったんですが、食べてびっくり、ほんとにおいしい」
トリュフの入ったクリームをトッピング。ホンビノス貝を使った、その名も「日本一のクラムチャウダー」780円です。
日本では一般的にあさりを使いますが、実は、アメリカのクラムチャウダーはホンビノス貝を使います。
桝田アナ
「濃厚。キノコのうまみや魚貝や野菜の甘み詰まっていておいしいですね。すごく品のあるクラムチャウダーです」
「ラーメン&Bar963」オーナー
黒川裕士さん
「船橋の町おこしで、日本クラムチャウダー選手権が行われて2連覇した」
船橋の特産品「ホンビノス貝」を広めるために行われた国内の大会で2連覇。さらに、アメリカの大会にも出場して優勝。まさに日本一の称号を得て、店で提供するようになったんです。
しかし、“日本一”にもかかわらず、なぜクラムチャウダーは“ウラ看板メニュー”のままなんでしょうか?
黒川さん
「ラーメンのだしというのから派生したクラムチャウダー」
「(Q.ラーメンがあってのクラムチャウダー?)そうですね」
クラムチャウダーの濃厚な味は、ラーメンのスープをとる技法にありました。
黒川さん
「呼び戻しスープっていうんですけど、どんどん新しいガラを入れていくことで濃いだしがとれる」
クラムチャウダーは、およそ100キロのホンビノス貝を、2回に分けてだしをとることで濃厚な味を生み出していたんです。
今では、ラーメンと共にクラムチャウダーを食べる客が続出。ご飯がほしいという要望を受けて、「チャウダー飯」まで登場しています。
■そば屋さんのウラ看板メニュー「オムライス」
一方、埼玉県飯能市。ランチタイムは長~い行列ができる「長寿庵」。創業62年、地域に根差したおそば屋さんですが…。
始めて来店した客
「洋食が食べたくて調べたら(この店が)出てきた。着いたら、そば屋さんだった」
「(この店)なに屋だろうって思ったよね」
「なんか意外性があって良いですよね」
おそば屋さんで洋食!?客の多くが「ウラ看板メニュー」を注文するというんです。一体、どういうこと?
昼時の店内で飛び交うメニューは「オムライス」。これが創業以来のウラ看板メニューでした。
タマネギに豚肉とおよそ2合のケチャップライスを手早く炒め、しっかりと火の通った玉子焼きをかぶせます。最後にケチャップをかけて完成。オムライス(スープ、フルーツ付き)は980円です。驚くべきは、そのボリューム。
「長寿庵」2代目店主
矢代和久さん(58)
「(Q.大盛りですか?)普通です」
桝田アナ
「ご飯は甘みがあるが、外のケチャップは酸味があってバランスが良い。玉子は薄焼きで、ちょっと甘みを感じます」
30年来の客
「うまい。やっぱり、ここに来たらオムライスかなって」
初めて来店した客
「結構、あっさりしていて食べやすかった」
先代が創業したのは昭和37年。うどん一杯が40円ほどの高度経済成長期のころでした。
矢代さん
「その当時はファミリーレストランがなかったので、ファミレス的なそば屋さんにすれば経営もなりたつのではないかと…」
ジャンルにとらわれず、いろんな料理が楽しめるファミリーレストランを、なんと60年以上前に目指していたんです。
では、なぜ、今でも看板が「そば処」のままなのでしょうか?
矢代さん
「地域のおそば屋さんとしてやっているので、もともとファストフードだと思うんですよ。そば屋って」
オムライスのおかげで、今でも客足が絶えない店に…。両親が目指したファミレスを実現するため、そば以外のメニューをこれからも増やしていきたいということです。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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