イラク攻撃にまつわるアメリカの内部を、実話に基づいて描いた映画が2本、公開されています。その正当性を疑問視した新聞社の苦闘を描く『記者たち 衝撃と畏怖の真実』(監督ロブ・ライナー)と、イラク攻撃時に副大統領だったディック・チェイニーが”影の大統領”と呼ばれるにいたった伝記的作品『バイス』(監督アダム・マッケイ)です。今これらの映画が撮られたのは偶然ではなく、その背後にはこの時代への問題意識が共通しています。ジャーナリズムとは何か、民主主義とは何か。その問いは、日本の私たちにとっても他人事ではありません。当時の込み入った状況を解きほぐし、これらの作品を解説するのは、当時アメリカに在住していたジャーナリスト、北丸雄二さんです。映画を見た方もこれから見る方も、このインタビューによって鑑賞をより深めてください。
【補足】
当時、もっとも民主的と言われたワイマール憲法下の議会では、小党が割拠し、政策決定が困難でした。カール・シュミットは、話し合いを重視する議会制民主主義を「政治的ロマン主義」と切って捨て、権力を集中させることの妥当性を唱えました。意見の異なる勢力は敵とみなし、合意形成の努力などせずに徹底的に力を削ぐというのが、「友−敵理論」です。戦争などの国難に際しては、行政の最高責任者の特権を認めるべし、という彼の政治理論を体現するのが、「決められる政治」を唱えたナチス政権でした。
映画『記者たち 衝撃と畏怖の真実』公式サイト
http://reporters-movie.jp
映画『バイス』公式サイト
https://longride.jp/vice/
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