「生活を元に戻すため」嫁入り道具を災害ゴミに…避難所引っ越しも 発災3週目の葛藤【サンデーステーション】(2024年1月21日)

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発生から72時間後に救出された女性、その救出の2日後に亡くなっています。
遺族が胸の内を明かしました。

■「早く助け出せなくてごめん」息子明かす胸中

(母と弟を亡くした 外武志さん)「もっと早く助け出してあげなくてごめんなさいというのはありますね。ずっとそれはあるんですけども、今はそれ考えると悲しくなるんで…」
母(89)と弟(58)を亡くした、外武志さん(60)。
(外武志さん)「絶対どこかで避難してくれていると思ってましたね…」
母・節子さんは、地震発生からおよそ72時間経過した4日、輪島市の倒壊した住宅から救出されました。
はっきり受け答えできる状態だったといいますが、その後、容体が急変し、亡くなりました。
(外武志さん)「母には寒くないし、苦しむことないからゆっくり休んでねということと、あとは横に弟がいるので寂しくないからねと」
自衛官だった弟の忠司さん。3年前に退官してからは、一人暮らしの母親を支えるために輪島に戻っていました。最後は自宅で母親を守るように覆いかぶさって亡くなっていたといいます。
(外武志さん)「最後ちゃんと母のそばで心配してくれたなというところには感謝ですね。弟の分も含めて少しでも長生きできるよう、母にずっと言われていた健康には気を付けながらしっかり生きていきたいなと思っています。」

■学校再開へ「苦渋の決断」中学生が集団避難

(佐々木一真アナウンサー)「甚大な被害が出た輪島市です。今も倒壊した家屋が、道を塞いでしまっています。多くの家屋に倒壊する危険があることを示す赤い紙が張られていまして、被害の全容が少しずつ分かってきています。」
石川県は20日、輪島市で被害を受けた住宅の数を初めて870戸と発表。しかし、これは確認できた限りの数字です。歴史ある神社も…
Q.こちら大きな石像ですか?
(住吉神社 禰宜 浅井吉胤さん)「狛犬ですね。まさかと思ったんですけど…土台ごと動いてしまいましたね。」
輪島の春の祭りを彩った曳山も…
(住吉神社 禰宜 浅井吉胤さん)「これが春祭りの時に出る曳山でして、輪島塗の立派なものだったんですけど、ちょっと崩れてしまったので。まだ皆さんがご自宅に安心して住めるような形ではないので、(片付けは)それからかなと思っているんですけど。」

21日、珠洲市と能登町では、合わせておよそ140人の中学生の集団避難が始まりました。
「無事で本当に元気で帰って来てくれることを、寂しくて…」
「学校も被災、避難所となって難しいところもある中で仕方ないかな。苦渋の決断でした」
避難先となるのは、100km以上離れた金沢市の施設。期間はおよそ2カ月ということです。

一方、最大震度7を観測した志賀町では、学校再開に向けた動きが…
2週間前、富来中学校へ避難して来た藤田さん夫婦。授業が始まるため、別の場所へ移動するといいます。
息子さんが車で手伝いに来ていました。
(息子 藤田賢誠さん)「これ全部じいちゃんのやつ?」
次の避難先は、学校から300m離れた場所。この日、30人が移動しました。
(息子 藤田賢誠さん)「子どもはやっぱり地域の宝なんで勉強してもらってそのためには全然引越しはしょうがないですよね」

■「生活 元に戻すには」“嫁入り道具”に別れ

被災者が前へ進むための支援も始まっています。
東日本大震災をきっかけに始まった、カーシェアサービス。全国から集まった45台の車、被災者は何度でも利用できます。
Q.きょうはどうして車を借りにいらしたんですか?
(被災した女性)「被災した荷物の廃棄に。本当に助かります。」
大きな家具を運ぶために軽トラックを借りました。
「自宅はこれで立ってるんですよ 普通に立ってるんですよ」
七尾市の自宅は無事でしたが…家の中に入ると…
(被災した女性)「(家具が)立ってはいたんですけど、こうなって扉がもう完全に落ちてたんで」
2階の家具は地震の揺れで倒れたといいます。壊れてしまったこのタンス。
Q.長く使われていたタンスだった?
(被災した女性)「これ嫁入り道具ですよ。母は健在で生きているんで、一応報告はしましたけど」
Q思い出もあるものですよね
「そうねぇ…」
両親が持たせてくれた、大切な嫁入り道具でした。
(被災した女性)「やっぱりちょっとでも生活を元に戻すには、壊れたものを捨てていかないと。」
タンスを積み込み、災害ゴミ置き場へ…想いの詰まったタンスが廃棄されていきます。
(被災した女性)「まあまあ、一瞬やったね。見てなかったわ…」
「まあ寂しいというよりも、一瞬でしたね。一瞬でした。まあまあ命ありますんで…」
少しずつ前に進み始める人がいる一方で、まだ厳しい避難生活に身を置く人たちもー。

■今まさに要注意 震災関連死防ぐ“口腔ケア”

(佐々木一真アナウンサー)「早朝、雨が降る中、準備が行われています。車には多くの口腔ケア用品が積まれています。」
けさ6時半、まだ暗い中から活動を始めたのは、石川県歯科医師会の「災害歯科支援チーム」です。
(石川県歯科医師会 江尻重文理事)「主に被災地で歯科の支援ですね。お口のケアが後回しになったり、おろそかになったり…」
21日、歯科医の江尻さんらが向かったのは、輪島市にある避難所です。
(佐々木一真アナウンサー)「ここは倒壊した家屋が道路の半分ほどを塞いでしまっています。道路状況はまだまだ改善されていません。」
避難所となっている中学校に到着したのは、出発から3時間後。歯ブラシや入れ歯洗浄剤などの支援物資を運び込みます。
(江尻重文理事)「見たところ入れ歯関係の洗浄剤があまりないのかなと。」
「年齢構成はどういう感じ?」
(市の職員)「校舎側は高齢者が1階に多くいらっしゃる。」
地震発生から3週間、心配なのは高齢者だと言います。診察の様子を、許可を得て撮影させてもらいました。
(江尻重文理事)「お口のトラブルとか困りごとは?」
「歯がポンって1本抜けました。」
(江尻重文理事)「かさぶたが見えるし、中に根っこが残っていないかの不安はありますけど、傷口はきれいだから良いと思います。」
気になったのは、磨き残しなどの口内環境です。
(江尻重文理事)「汚れは下のほうにたまるんで。もうちょっと根元に歯ブラシがあたってくれるといいですけれども。」
「なかなかうがいまで行くのが大変なので」
(江尻重文理事)「口の中が不潔な状態が続くと、細菌が繁殖しますよね。(発災から)1週間、2週間後から“誤嚥性肺炎”が増えると言われております」
断水や避難所生活で、歯磨きがしづらくなると、口の中の細菌が増殖。特に高齢者は、その細菌を含んだ唾液や飲食物が誤って気管に入り、“誤嚥性肺炎”になって、亡くなる恐れもあるのです。
歯科医のチームが巡回し、安心したという人も―。
(歯科医)「痛みはないですか?」
「痛みはないです。」
(歯科医)「さっき息子さんと会って元気そうだったからよかった。」
「かかりつけのお医者さんで。たまたま会ったもので。歯(の治療)も途中だったものですから…」
(江尻重文理事)「ご自宅と違って、外だと入れ歯を外したり、決まった時間に歯磨きするなど難しい場合も多いと思うので、高齢者だとか抵抗力が落ちた人の命を奪う原因にもなりますから、できる範囲でお口の中のケアを続けていただくことが大事だと思います。」

1月21日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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