落語界にも「一社会人という自覚必要」“パワハラ”裁判で師匠に損害賠償命令【報道ステーション】(2024年1月26日)

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伝統芸能の師弟関係を見直す、そんな時代が来たのでしょうか。東京地裁が“師匠のパワハラ”を認めました。

原告・元三遊亭天歌 井上雄策さん(41)
「当時は私、三遊亭天歌ということで、元師匠の下で弟子を務めておりました」

20代で伝統芸能の世界に飛び込んだ、井上さん。同じ九州出身の三遊亭圓歌さんは憧れの人でした。師匠と弟子として過ごしたのは、12年以上になります。

落語家の弟子が、師匠からパワハラを受けたとして、損害賠償を求めた裁判。東京地裁は26日の判決で、原告が訴えた2010年から2022年の11の行為のうち、7つについて違法性があると判断しました。

例えば、コロナ禍で、感染対策のため楽屋にいなかったことに腹を立て、たたくなどしたことや、衣装を放置したと怒る師匠に謝ろうと家に行くと、いきなり怒鳴り、玄関先に土下座させた行為などです。

井上さんは音声を記録していました。

被告
「何だお前。この野郎。土下座せぇ。バカ野郎。言ったのか言ってねえのか、聞いてるだけじゃねえか。この野郎」

原告
「言ってないと思います」

被告
「破門。帰れ」

東京地裁は「社会的に許容される範囲を逸脱」などと指摘しました。

船尾徹弁護士
「伝統芸能ですから、厳しい指導があることは間違いないことですが、指導の域を超えた暴力・暴言、ハラスメントが許されない一線があると思う。この裁判では、一つの大きな争点になっていた。(師弟関係は)パワハラのような不法行為が生じる可能性をはらんだ関係にあるということを判決では指摘している」

親子関係のような濃密な人間関係である「師匠と弟子」。12年以上、尽くした弟子が300万円の損害賠償を求めたこの裁判で、東京地裁は、元師匠に80万円の支払いなどを命じました。

金銭への換算には、パワハラ告発記事がインターネットに掲載されたことで「精神的苦痛は一定程度慰謝されている」ことが考慮されました。

原告・元三遊亭天歌 井上雄策さん
「一部の意見ですが『入門してきたのは弟子なんだから、師匠に文句を言うのはおかしい』と耳にすることもありました。しかし、今回の裁判を通して『それは違う』とご判断いただいた。そもそも弟子にも人権があります。これからの業界には、落語家である前に、一社会人という自覚が、師匠にも弟子にも必要になってくると思います」

元師匠の三遊亭圓歌さん側は「指導の一環として行われたもので、文化芸術の継承における師匠と弟子との関係性を踏まえると、可罰的違法性が認められるものではない」と主張しています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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