総理演説会場の爆発物は“手製”か 専門家が注目する爆発までの52秒「目立とうと」(2023年4月16日)

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ANN
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岸田総理の演説会場で起きた爆発事件です。
逮捕された24歳の男は警察の取り調べに黙秘を続けていますが、事件直前のものとみられる新たな映像から
その足取りや、犯行の計画性が見えてきました。

▽複数本の“爆発物”さらにナイフを所持
事件直前、防犯カメラがとらえた木村隆二容疑者とみられる人物の映像です。右手には黒い傘を持ち、グレーのリュックを背負い坂道を下っています。同じ店にある別のカメラにも同じような人物の姿が…映像は、事件が起きた雑賀崎漁港からおよそ150mの場所にある防犯カメラがとらえました。時間は、きのう15日、午前11時19分を指していますが、3分ほどのズレがあるため、実際は午前11時16分ごろとみられます。
大通りに出ると岸田総理大臣を乗せたとみられる車列が通り過ぎます。するとその直後、木村容疑者とみられる人物が現れ、車列が向かった方向に歩いていくのが分かります。さらにその60mほど先にある防犯カメラにも…木村容疑者とみられる人物がリュックを前に回し、何かを取り出したように見えます。グレーのリュックと黒い傘に加え、先ほどの映像にはなかった手提げカバンのようなものを持っています。向かう先に映っているのは演説会場です。手提げカバンからは、果物ナイフが見つかっており、警察は、爆発物が不発だった時のために、果物ナイフも準備していたとみています。

▽容疑者にヘッドロック「とっさに押さえにいった」
爆発物が投げ込まれた直後、いち早く木村容疑者を取り押さえた地元の漁師の男性が取材に応じました。
(木村容疑者を取り押さえた漁師(54))「あれ?と思ったので、その人を気にしていたら、まだ手元で何かをしているしぐさがあったので、気になって見たらやっぱり持っていたので飛びかかった。とっさに押さえにいった形で」
岸田総理からは、お礼の電話があったといいます。
(木村容疑者を取り押さえた漁師(54))「夕方5時か6時に電話をくれて、『きょうのこと本当にありがとうございました』と言ってもらって、岸田総理にも『けが人がなくてよかったですね』と言った。」
この爆発で警察官が一人、軽傷を負いましたが、さらに聴衆がけがをした可能性が浮上しました。
(当時 現場にいた人)「家帰ってきてから(気づいた)何か背中に当たっていたみたい。服を脱いだらちょっと傷があった。痛いから分かった」
Q.風というか衝撃?
「当たった。鑑識が服を持っていった。自分で良かった。小さい子がけがしていたらえらいことだった」

▽深夜の家宅捜索…“爆発物”警戒で避難呼びかけ
きのう15日、和歌山市の漁港で岸田総理に向け爆発物を投げ、演説を妨害した威力業務妨害の疑いで現行犯逮捕された木村隆二容疑者。兵庫県川西市にある木村容疑者の自宅では…
(中村瑠偉世記者)「午前0時過ぎです。木村容疑者の自宅付近に警察官が集まりました。これから家宅捜索が行われる模様です。」
真夜中に始まった家宅捜索。爆発物が見つかる可能性もあることから、近隣住民に避難が呼びかけられました。一夜明け…
(山本竜馬記者)「午前9時過ぎです。容疑者の自宅から段ボール箱を持った捜査員が次々と出てきました。中には証拠物が入っているとみられます。」
8時間に及んだ家宅捜索。パソコンやタブレット、工具などが押収されました。

▽容疑者「とにかくおとなしい」近隣住民も驚き
(佐々木一真アナウンサー)「木村容疑者の自宅の庭を見てみますと、このように様々な花が咲き、綺麗に手入れされていることがわかります。近隣住民によると、度々この庭で母親と手入れをする様子を見かけたといいます」
Q.どういった人柄?
(木村容疑者の近隣住民)「おとなしい、とにかくおとなしい、あいさつをしたら返してくれるし」
Q.(母親と)一緒にガーデニングする姿も?
「ガーデニングもそうですね、雑草とか剪定した木を。良い子、高校生くらいの男の子はそんなことしないでしょ?出来のいい子でしたけどね。」
Q.ご家族は?
「最近、お母さんとあの子しか見なかった」
Q.お父さんは?
「ここ数年見たことないです」
Q.ここ数年というと?
「4~5年。車も2台から1台になった。その頃に(父親は)彼によく朝学校に行かないのを怒っていたのかその辺は分からないけれど『早くしろ』とか怒鳴り声が聞こえたことある」
Q.それに言い返すようなことは?
「ないないないない。言い返すとか怒鳴り声とかあの子の声は聞いたことないですね。」
Q.本当におとなしい?
「おとなしいですね。」
(佐々木一真アナウンサー)「木村容疑者の同級生によりますと、小学校時代は活発なサッカー少年だったといいますが、それが中学生へ進学すると一変したといいます。」
(木村容疑者の同級生)「社交的で元気ってイメージですね。(小学校の時は)一緒にやってましたよ、サッカーは。中学校の頃から出たくない授業みたいな、音楽の授業があって、その日だけ学校に来なくなっちゃって、それがきっかけで、中学校でいじめられ始めちゃって性格がすごく内気というか内向的になったんだなと」
また、両親との関係について…
(木村容疑者の同級生)「全然仲良くないと思います。両親とそんな仲良くなさそうだったんで、そんな普段から会話とかめっちゃしてないと思います。放置って感じだったと思いますね。親に対して『なんかもういいや』みたいな感じだったと思います。」

▽投げ込まれた爆発物は“手製”か
木村容疑者が使用したとみられる爆発物は、筒状の金属製らしき物体。
幸い、岸田総理は爆発前にSPに誘導され避難したものの、複数の人間が負傷した可能性があります。この爆発物は何だったのか?専門家は撮影された映像から、それは「パイプ爆弾」の可能性があると指摘します。
(火薬・爆薬に詳しい 防衛大学校 甲賀誠教授)「このような鉄パイプの中に火薬類・爆発物を入れて両方フタをする。」
1960年代から70年代にかけて激化した学生運動や、過激派の活動に使用された「パイプ爆弾」。最近では2015年、靖国神社のトイレで使われました。
Q.この爆発物は簡単に作れるようなものなんですか?
(防衛大学校 甲賀誠教授)「鉄パイプの爆弾であればホームセンターで2、3千円で買えるような爆発物ですので簡単にできるかと思います」
爆発物は、木村容疑者の手でつくられたものなのか?
深夜から行われた家宅捜索では、粉末や鋼管のようなもの、工具などが押収されているのが分かりました。しかし甲賀教授は一般的なパイプ爆弾とは異なる部分が多いと言います。
(防衛大学校 甲賀誠教授)「白い煙が結構出ているので、黒色火薬、燃焼速度が遅くてガスの発生量が少ないんです。それを集めてもあまり威力はない。普通だったら爆薬を入れるのが一般的です」
さらに甲賀教授が注目したのは、投げ込まれた時から、爆発までの時間です。爆発物が投げ入れられてから、爆発までの時間は52秒。この時間から、木村容疑者の動機が垣間見れると言います
(防衛大学校 甲賀誠教授)「投げ入れて標的のところに落ちたらすぐ爆発させるさせるのが普通だが、殺意を持っているようには見えないんですよね。それも着火して投げてから50秒前後で十分退避時間をとっている訳ですから、大きな被害を出そうという意図はあまりなくて、目立とうという意図、自分がここにいると主張したい感じの気はする」

▽“爆発”受け厳戒…金属探知機で手荷物チェック
事件から一夜明けたきょう16日、岸田総理の遊説先では…
(村川仁基記者)「こちらの演説会場では、昨日の事件を受け、普段は設置されていないコーンや柵などが設置されています」
総理の到着を前に、聴衆との距離を確保するために、急遽フェンスなどを設置。さらに…
「ご協力をお願いします。ちょっとバッグの中を…」
集まった聴衆に手荷物検査を実施。また、金属探知機を使って持ち物チェックをするなど、きのうとは打って変わって厳重な警戒が行われました。ただ、多くの有権者が出入りする屋外の会場では要人警護に限界があるという指摘もあります。
(公共政策調査会 板橋功研究センター長)「不特定多数の有権者の所に入っていく、なるべく距離を近める、そうすると警備は非常に難しいんですね。警備といえども、警察が介入する。これによって選挙に影響を与えてしまう可能性があるわけですね。例えば警備の厳しい遊説場所には人が集まらなくなってしまうかもしれない。そうすると票が減ってしまうかもしれない。」
こう述べた上で、選挙での要人警護自体、見直すべき時が来ていると主張します。
(公共政策調査会 板橋功研究センター長)「総理・現職の閣僚、選挙といえども街頭演説は避けて、できれば屋内の施設で演説をする。入口の所に金属探知機や目視による手荷物検査をして、そういう会場で演説をしてもらうと。私は安倍さんの事件の後、そういう主張をずっとしてきてるんですが、残念ながら、そういうガイドラインもできないままに、この統一地方選挙に入ってしまった」
いまだ黙秘を続けている木村容疑者。警察は自宅から押収したものなどから、動機についても調べる方針です。

4月16日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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